@がんばらないで生きていく

小説ちょこっととお本の感想,その他趣味,星を観ます

ほんとのところ

「ほんと」とか言っておきながらきっとどうせ本当のことなんて書けないと思う. 将来の夢の一つにドイツに土地を買って桑名六華苑みたいな,まあ要するに桜鳴六画邸を建ててそこでクリエイティビティに富んだよしなしごとをして老後を過ごすというのがあるけ…

アンドロイドは電気羊の夢を見るか? を読んだ.

こんばんは,よしだです. 今回は誰もが一度は耳にしたことがあろうタイトル.映画「ブレードランナー」の原作であるアンドロイドは電気羊の夢を見るか?です. アンドロイドは電気羊の夢を見るか? 作者:フィリップ・K・ディック,浅倉 久志 早川書房 Amazo…

夜行 を読んでいる.

こんばんは,よしだです. 今回は本当に一言だけのメモのつもりです. 本来ならnoteの方に書くべきかもしれませんが,読書に関する話題でしたので,できるだけ読みやすい文体でブログの方に書くことにしました. 私は今,森見登美彦の夜行を読んでいる途中で…

スプートニクの恋人 を読んでいる.

こんばんは,よしだです. を読んだ.とカテゴライズして読んだ本の感想を一言述べる記事を書いていましたが,止まってしまっていますね. まあ,記事を書くために小説を読むというのは私的にはやりたくないことなので,今後も気ままに読書していきたいと思…

二年前の春にした旅について 5

ほいほいと簡単におじさんの家に上がり込んだ. もちろんすぐに帰るつもりだった. 二日分の宿代を払ってしまっているし,万一の命の危機に関わる可能性まで考えた. コーヒーを手渡されて,居間に腰付けると私たちはよく分からないまま会話を始めた. おじ…

二年前の春にした旅について 4

翌日は朝早くに宿を出て由布岳を目指した. バスで登山口まで向かい私は勢いよく登り始めた. 登山は好きだ. この身をもって一歩一歩目標地点に,物理的に近づいていけるというこの感覚が心地よい. この日は雲量六程度の晴れだったが山頂はどうだか分から…

二年前の春にした旅について 3

翌四月一日. 私は真っ赤な列車に乗って湯布院へと向かった. いよいよ旅の,そしてこの文章の主要部へと突入する. 目的地に近づくにつれて立派なふたこぶの山が見えてきた. 由布岳という. かねてより山が好きだった私はその姿にまず見蕩れ入った. そし…

二年前の春にした旅について 2

2019年三月三十一日. どうやら私はこの日の早朝に飛行機で長崎へと向かったらしい. ソラシドエアSNA031便 東京(羽田)発―長崎着 六時五十五分―八時五十分. 大学生になるということはもしかしたら少し大人になったと勘違いするということかもしれない. 一…

二年前の春にした旅について

二年前の春にした旅について,なぜ今になって筆を執るに至ったのかを的確に説明することは難しい. しかし,我が人生において2019年という年は大きな転機となった一年だと,もしかしたら十年後二十年後に思うようになるのではないか,そういう予感がしたのだ…

嘘と本当の割合

こんばんは,よしだです. もう二か月ほど前ですが死刑にいたる病を読んだレビューを書きました. albireo-da-vinci.hatenablog.com そこで登場する殺人鬼,榛村大和の「嘘をつくには9割は本当のことを話した方がいい」という台詞を取り上げました. 正しく…

死刑にいたる病 を読んだ.

こんばんは,よしだです. 前回第四回の記事ですが,まあひどいレビューですね.自分で読んでいて苛々してしまいした. さて,今回はちょっと長くなってしまうかもしれません. とりあえず今回読んだ本はこちらです. 死刑にいたる病 (ハヤカワ文庫JA) 作者:…

悪いものが、来ませんように を読んだ.

こんばんは,よしだです. 前回からどれくらいの月日がったのか分かりません. でも第4回が書けることを嬉しく思います. 今回はこれです. 悪いものが、来ませんように (角川文庫) 作者:芦沢 央 発売日: 2016/08/25 メディア: Kindle版 今回も若干のネタバ…

日の記 14

14 「分かっていたことじゃないかしら?」 なんて魔女が言うので,私はきっとわかっていたのだと思う. けれど, 「目的が分からない」私は何をそんなに焦っているのだろう? 「それは何に対しての発言かしら?」 きっと魔女はまた分かり切っているのにそ…

希望が死んだ夜に を読んだ.

こんばんは,よしだです. さてさて何から話したものか.世間は新型コロナウイルスにやられ,日本でも非常事態宣言が発令され範囲が全国に拡大されました.この大変な世の中ですが,世界を支えるためにお働きになっている方々には頭が上がりません.心から御…

ささみさん@がんばらない2 を読んだ.

何々を読んだ.シリーズとして今後は続けていこうかなと思っております. あ,それと一応名乗った方がいいのかなと前回思いまして,,,.よしだっていいます.はじめまして. さて,今回読んだ本はささみさん@がんばらない 2です. ささみさん@がんばらな…

HELLO WORLD if: 勘解由小路三鈴は世界で最初の失恋をする を読んだ.

HELLO WORLD if: 勘解由小路三鈴は世界で最初の失恋をする 伊勢ネキセ HELLO WORLD if ー勘解由小路三鈴は世界で最初の失恋をするー (ダッシュエックス文庫) 作者: 伊瀬ネキセ,映画『HELLO WORLD」,堀口悠紀子 出版社/メーカー: 集英社 発売日: 2019/09/20 …

日の記 13

13 遠い昔に見たような夢について,私は時たま思い出すことがある. もしかしたらそれは,本当は夢ではないのかもしれない.けれどどうも現実味がないという点で明らかに夢なのだということが分かる. 朝の身支度をしながら私は今日見た夢のことを考えてい…

日の記 12

12 講義が終わった. 今日もよく晴れた春の日差しが西に傾こうとしている中,私はいつも通り帰宅しようと本館を出た. 本館はこの大学にある建物の中で一番古いらしい.. しかし,たしかに古い建物という出で立ちではあるがそこまで古いとは思えなかった…

日の記 11

11 私が中学生の頃,一度大きな彗星が日本からでもよく見える時期があった.もちろんその彗星の出現はずっと前から分かっていたことで,私はしきりに友人たちにそのことを話していた. けれど驚いたことに私の友人たちは特に興味を持つわけでもなく私の話…

日の記 10

10 目が覚めてまず確認するのは今日の日付だった. 私は朝が弱くて起きてすぐは何も考えられないし,立ち上がる力もない.あるのはただ何となく今日も同じ身の中にいるのだなというぼんやりとした認識と,目覚めてしまったという若干の絶望である. もしか…

日の記 9

9 帰り道. いつものベンチには魔女はいない. 毎日彼女はいつここに来て,そしていつ帰っているのだろうか,と考えた.家はあるのだろうか,と少し考えた. 外見はどこから見ても普通の人間のそれなのだから,魔女だ,と言われても普通は信じられないので…

日の記 8

8 暗い箱の中に僕らは座っていた.天井が低くて椅子は目には見えないが,座ることによってその存在を認識している. おそらく夢を見ていたのだと思う. 私は中学生くらいの頃の背丈で,彼女はいつもどおりの姿だった. 魔女の髪がいつもより短い気がした. …

日の記 7

7 登校中.今日も気がつくといつもと同じ電車に乗っていた. 電車に乗っている間,私は音楽を聴くことができなかった. これはイヤホンを付けてケータイから音楽を再生してもそれが耳に入ってこない,という意味だ. 次の駅のアナウンスが,ドアの開閉の音が…

日の記 6

6 今日はいつものベンチには魔女はいなかった. そういう日もあるか,と思って私はそのまま講義室へと向かった. 私は今日もまた,つまらない講義を受けなければならないらしい.そこには何の理由もなければ意味も見いだせない.謎の義務感だけによって私は…

日の記 5

5 授業というものは実に良く出来ているシステムだと思う.否,これは語弊があるかもしれない.とにかく私にとっては他人から受動的に学びを得られるというのはありがたいシステムのように思えるのだ. ただただノートを開いて気が向いたら板書を写し,必要そ…

日の記 4

4 「あ,」 それは言った. そうか,昨日も会ったんだ. しかし 「今日は制服着てる」 あなた今日は制服を着ていますね,ということを伝えたかったのだが言葉にした途端それは高い剛性を持った塊みたいな違和感となった. 「大丈夫,あなたの言いたいことは…

日の記 3

3 朝を告げるアラームを頑張って腕を伸ばして止める. 午前八時零零分。 一限には間に合わないが二限に登校するには充分の時間だ.私は今日の日付を確かめる.けれどカレンダーはそれを教えてはくれない. 朝食は毎朝納豆ご飯だった. 好きだからそうしてい…

日の記 2

2 講義室の前で人があふれ出すのを待つ.前の講義が少し長引いているらしい.一人二人講義室を出ていくものもいる.彼らには次の用事がそんなにも詰まっているのか,と何ともなしに思う.徐々に同じく講義室の前で待機している人が増え始めてきた. 腕時計…

日の記 1

1 気が付いたらもう私は大学二年生だった. 小学生のころ,中学生になれば何か世界が変わるのではないか,と期待していた自分がいたことをなんとなく思いだす.けれど実際はそんなことはなく,世界はただただ理不尽にあふれかえっているということを思い知…