日の記 10
10
目が覚めてまず確認するのは今日の日付だった.
私は朝が弱くて起きてすぐは何も考えられないし,立ち上がる力もない.あるのはただ何となく今日も同じ身の中にいるのだなというぼんやりとした認識と,目覚めてしまったという若干の絶望である.
もしかしたら若干どころではないかもしれない.
壁にかけられているカレンダーを見て今日の日付を確認する.それだけでは今日が何日かわからないのでそこでようやくデジタル時計の表示をみて今日の日付情報を明確にする.
曜日と起きた時間を考えるとどうやら今日は二限から大学に行けばいいらしいことは分かった.
ぼさぼさの頭に手をやって学校行かなくていいかなという決まり文句を脳内で呟いてからベッドの淵から足を出して身を起こした.
どうしてこう,考えていることと行動はいつも矛盾するのだろうか.
きっと本当は,自分はそんなこと考えてもいないのだろう.
思考よりも行動が全てだ.
だから真意は行動に出る.
きっと私は「学校に行かなくてもいいか」なんて思ってもいないのだ.
今日も聖書の勧誘をすり抜けてキャンパスに入ると,私はすぐ魔女の姿を探した.魔女はいない日もあるけれど,今日はそこに座っていた.
今日も気がついたら学校に来ていて,また同じCtrl+Cの日々を過ごす.
けれど魔女は毎日違う日を過ごしていて,きっと彼女は彼女の仕事をこなしているのだろう.
魔女の仕事
字面は少し不気味だ.
彼女は毎日何をして過ごしているのだろう.
そういえば魔女の日常のようなことについて,私は尋ねたことがなかった.